「AWS資格を取ったけど、これでクラウドエンジニアとして本当に年収は上がるのかな…」。オンプレ運用中心のSIer・SESエンジニアからよく聞くセリフです。転職エージェントを利用して複数社から内定を得た経験のある運営者ittiが、公的データや業界調査をもとに解説します。

  • クラウドエンジニアの年収は実際どのくらいなのか
  • AWS資格は転職・年収アップにどこまで効くのか
  • 未経験・実務経験浅めでも移行できるのか

この記事を読めば、資格と実務経験それぞれの効果を切り分けてわかりやすく整理できます。

①クラウドエンジニアの転職市場は今どうなっているか

「クラウドって需要が伸びてるとは聞くけど、実際どうなの?」と気になりますよね。まずは市場の背景から確認しましょう。

需要が伸びている背景(クラウド移行・DX推進)

経済産業省の「DXレポート」では、2025年に約43万人のIT人材が不足すると試算されています(出典:経済産業省「DXレポート」2018年公表)。経産省・IPAの「IT人材需給に関する調査」では、2030年までに最大約79万人の需要ギャップが生じるとするシナリオもあります。特にクラウド・DX推進・データ分析・セキュリティ領域の人材不足が深刻とされています。

ここまでのデータの読み方

ここまでの人材不足のデータは、企業側が「クラウド未経験者でも採用して育てる」動きの根拠として使えます。

この人材ギャップは裏を返せば、クラウド未経験でも研修・OJTで育成する企業が増えているということです。もちろん企業や求人によって差はありますが、追い風であることは間違いありません。

💡 ポイント クラウド人材の不足は公的データでも裏付けられており、未経験からの参入余地は広がっている

SIer/SES出身者の転職ニーズが高い理由

SES経験者は「給与が低い」「スキルアップが難しい」「エンジニアと無関係な雑務を任される」といった不満を抱えやすい傾向があります。こうした不満が、クラウドスキル習得によるキャリアチェンジのモチベーションになっているケースが目立ちます。

実際にオンプレメインのSESエンジニア(SES歴5年)がAWSエンジニアへ転職した体験談では、「AWSならそこまで年収を落とさずにSESからキャリアアップできる」という所感が語られています(出典:Qiita個人体験記事)。SESから自社開発企業へ転職するには|年収と働き方はどう変わる?も参考にしてみてください。

②AWS経験は年収にどれくらい影響するか

「結局、年収はいくらくらい変わるの?」というのがいちばん気になるところですよね。ここでは複数の調査データを幅で示していきます。

オンプレ運用エンジニアとクラウドエンジニアの年収比較

年収の数字は出典によってばらつきが大きいため、単一の断定値ではなく幅で示します。Geekly自社データではAWSエンジニア全体の平均年収は約580万円、Indeed調査(引用元記事経由)では約695万円とされています。クラウドエンジニア全体では平均550〜600万円前後、設計構築層は650〜800万円超という調査もあります(出典:https://infla-lab.com/blog/cloud-engineer-annual-income/)。

クラウドエンジニアの年収レンジ(役割別の目安)オンプレ運用層450〜600万円保守・運用が中心クラウド経験は限定的クラウド設計構築層650〜800万円+要件定義から構築を担当上流工程の経験がカギマルチクラウド/ハイクラス1,000万円〜複数クラウド+セキュリティ等フリーランスなら単価91.6万円/月の例も

もちろん人によりますが、オンプレ運用からクラウド設計構築層への移行だけでも年収レンジが1段階変わりやすいのが特徴です。40代ITエンジニアの年収相場と上げ方|市場価値の現実でも年収相場の考え方を詳しく解説しています。

実務経験の年数・案件規模による年収レンジの違い

案件規模が大きいほど、設計・構築を担う機会が増え評価が上がりやすい傾向があります。逆に運用保守中心の案件が長いと、経験年数を重ねても年収レンジが上がりにくいのが実情です。フリーランス市場ではクラウドエンジニアの単価相場は月額約91.6万円という調査もあり、正社員転職とあわせて選択肢として頭に入れておくとよいでしょう。

注意点

年収データは各社の自社調べ・独自集計が中心で、厚労省など公的統計の一次データは見つかっていません。数字は目安として幅で捉えてください。
💡 ポイント 年収は「役割」と「案件規模」で大きく変わる。運用中心か設計構築かの違いが年収レンジを左右する

③AWS資格は転職・年収アップにどこまで効くか

「資格を取れば年収が上がるんですよね?」という質問をよく受けます。その気持ち、よくわかります。ですが、そこまで単純ではありません。ここを丁寧に切り分けていきましょう。

資格別の評価される場面(SAA/SAP/SysOps等)

SAA(Solutions Architect - Associate)は、ようするに「クラウドの基本設計ができる」ことを証明する入門資格で、取得後に上流工程の案件へアサインされ年収アップにつながった事例が複数報告されています。SAP(Solutions Architect - Professional)はさらに市場価値が高く、年収800万円超を狙える資格です。SysOps Administratorはシステム開発・運用双方の知識を証明する資格として評価されます。キャリアパスとしては、SAA取得後にSAPやDOP(DevOps Engineer Professional)へステップアップするのが市場価値向上の定石です。

「資格だけ」と「資格+実務経験」での評価差

ここが今回いちばん伝えたいポイントです。多くの記事は「資格を取れば年収アップ」と単純化しがちですが、実際は資格単体資格+実務経験 で評価が大きく異なります。

資格×実務経験の掛け合わせで評価はここまで変わる資格なし資格あり実務未経験実務経験あり書類選考すら通りにくい未経験可の求人は少数派まずは実務経験の獲得を優先ポテンシャル評価どまり意欲の証明にはなる即戦力とは見なされにくい実務経験ベースで高評価案件経験が実績として評価資格なしでも転職は可能上流案件・年収アップの本命設計構築の裁量ある案件へ年収250万円アップの例も

実例として、SIer企業からSAA取得を経て転職に成功し年収250万円アップした事例、SES企業のサーバーエンジニアからクラウドエンジニアにキャリアチェンジし年収120万円アップした事例が報告されています(出典:CloudTechブログ アンケート結果)。もちろん個人差はありますが、どちらも「資格取得だけ」ではなく、その後の実務経験や案件アサインが伴った結果である点がポイントです。

資格取得だけで転職できるのか、限界と注意点

「資格だけ取っても実務経験がないと即戦力とみなされにくい」という声は多く、資格はゴールではなく実務につなぐ手段と位置づけるのが実情に近いです。まずは社内でクラウド案件に関わる機会を作り、実務経験を積みながら転職活動を進めるのが現実的な戦略といえます。

資格の位置づけ

資格は転職の武器にはなりますが、それ単体がゴールではありません。実務経験と組み合わさって初めて評価が跳ね上がると考えておきましょう。
💡 ポイント 資格単体では評価に限界がある。実務経験と掛け合わせて初めて年収アップにつながりやすい

④未経験・実務経験浅めからクラウドエンジニアを目指すルート

「実務未経験でもクラウドエンジニアになれるの?」という不安、よくわかります。隣接領域からの移行なら現実的なルートがあります。

社内SE/SIerからのキャリアチェンジパターン

「クラウド未経験でも、インフラエンジニアとしての運用経験があれば応募可能な求人は一定数ある」とされ、完全未経験よりも隣接領域からの移行の方が現実的なルートとされています。多くの企業が研修・OJTで新人クラウドエンジニアを育成する体制を整えつつある背景には、前述のDX推進による人材不足があります。

SIer/SESからクラウドエンジニアへの移行ルート1資格取得SAA学習を3〜6ヶ月2社内で案件に挑戦OJT・兼務で経験を積む3クラウド専業へ転職設計構築層の求人へ応募

社内でいきなり大きな案件を任されなくても、既存インフラのクラウド移行プロジェクトに手を挙げるだけで実務経験の足がかりになります。

独学・資格学習で埋められる部分と埋められない部分

資格学習で埋められるのは、サービス仕様や設計パターンの知識です。一方で、本番環境での障害対応やコスト最適化の勘所は実務でしか身につきません。SAA→SAP/DOPとステップアップしながら、並行して社内のクラウド案件に関わる機会を探るのが、独学の限界を補う現実的な進め方です。

ヒント

  • まずはSAA相当の資格学習で全体像をつかむ
  • 社内のクラウド移行案件・兼務に手を挙げる
  • 実務経験が数ヶ月でもついたタイミングで転職活動を開始する
💡 ポイント 完全未経験より隣接領域からの移行が現実的。資格学習と社内での実務機会を並行して進める

⑤年収を上げるための転職活動の進め方

ここまでの内容を踏まえて、次にどう動くか気になりますよね。実際に整理していきましょう。

クラウド案件に強い転職エージェント・求人媒体の選び方

クラウド案件、特に上流工程(設計・構築)の比率が高いエージェントを選ぶことが、年収アップを狙ううえで重要です。2〜3社を併用して求人の比較やアドバイザーとの相性を見るのが定石とされています。

運営者イチオシ

Geekly(ギークリー)

★★★★☆ 4.7
IT/Web/ゲーム業界専門

求人件数:非公開求人多数

  • IT/Web/ゲーム業界に特化した人材紹介
  • AWSエンジニアの年収データを自社保有
  • 内定決定まで最短1ヶ月のスピード感

クラウド・Web系求人の幅とスピードに強み。

無料で登録する →

TechClipsエージェント

★★★★☆ 4.5
IT特化・高年収

求人件数:ハイクラス求人中心

  • ITエンジニア専門・高年収&高待遇求人
  • 設計構築層の案件も取り扱い
  • 専任アドバイザーによる技術面のヒアリング

実務経験を積んだ後の年収アップ狙いにおすすめ。

無料で登録する →

TechGo(テックゴー)

★★★★☆ 4.4
ITハイクラス

求人件数:ハイクラス求人

  • ITハイクラス求人に特化
  • 上流工程・設計案件の紹介に強み
  • MyVision運営で専門性が高い

設計構築層〜ハイクラス層を目指す人向け。

無料で登録する →

エイジレスエージェント

★★★★☆ 4.3
40-50代IT特化

求人件数:ミドル層向け求人

  • 40-50代のIT人材向け転職支援に特化
  • オンプレ出身者のキャリアチェンジ相談も対応
  • エイジレス運営で年齢の壁を意識した支援

40代・50代でオンプレからクラウドへ移りたい人向け。

無料で登録する →

より幅広い比較をしたい場合は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事 【2026年最新】ITエンジニア転職エージェントおすすめ8選2026年最新版。ITエンジニア転職エージェントおすすめ8社を徹底比較。経験年数・職種別の選び方、非公開求人の活用法、複数登録の組み合わせ例まで解説し …

職務経歴書・面接でAWS経験をどうアピールするか

面接では技術力だけでなく、プロジェクトを推進する力や顧客との折衝力も見られています。AWSなど使用技術と経験年数を具体的に明記し、プロジェクト経験は「成果と貢献度」を数字で語ることが重要です。「心がけたこと」「工夫したこと」「成果」をセットで書くと、面接で話題に上がりやすく評価されやすくなります。

面接でチェックされる3つのポイント

  • テクニカルスキル:AWSなど使用技術と経験年数を具体的に
  • プロジェクトマネジメントスキル:進行管理や課題解決の経験
  • 顧客折衝スキル:要件のすり合わせやトラブル対応の実績

職務経歴書の書き方に迷う人も多いはずです。書き方の詳細は以下の記事でまとめています。

関連記事 ITエンジニアの職務経歴書の書き方とスキルシートのコツITエンジニアの職務経歴書とスキルシートの書き方を、エージェント利用経験のある運営者ittiが解説。未経験・浅い経験でも書ける実践的な方法とNG例をわ …

ハイクラス層を目指す方は年収1000万円のITエンジニアになるには|到達できる職種・企業と必要スキルも参考になります。

💡 ポイント エージェントは上流案件に強い会社を軸に2〜3社併用。職務経歴書は成果を数字で語るのがコツ

まとめ:AWS資格と実務経験を掛け合わせて年収を上げる

資格単体では評価に限界があり、実務経験と掛け合わせて初めて年収アップにつながりやすいことを見てきました。SIer・SES出身者にとっては、完全未経験でいきなり転職するより、社内でクラウド案件に関わりながら資格学習を進める方が現実的なルートです。

まとめ

資格は「実務につなぐ手段」、実務経験は「年収を決める本命要素」。まずは社内のクラウド案件に手を挙げるところから始めてみてください。焦らず一歩ずつ進めていきましょう。