「地元に戻りたいけど、希望する職種の求人があるのか分からない」——そんな声をよく聞きます。機械加工の現場で働き、JACリクルートメントを利用して複数社から内定を得た経験のある運営者ittiが、Uターン・Iターン転職の進め方を解説します。
- 地方求人はどこで、どうやって探せばいいか
- 年収はどのくらい下がるのか、下げ幅を抑える方法はあるか
- 在職中から何ヶ月前に、何を始めればいいか
家族の同意や住居探しまで重なって身動きが取りづらい人に向けて、時系列でわかりやすく整理しました。
Uターン・Iターン転職とは|似ているようで違う2つの選択肢
「地方に移住して転職する」とひとくくりにされがちですが、UターンとIターンでは準備すべきことがまったく違います。「そもそも自分はどちらに当てはまるんだろう」と迷う方もいると思いますが、ここを分けずに情報収集すると、必要な段取りを見落としてしまうことがあるので注意してください。
Uターン転職の特徴とメリット・デメリット
Uターン転職は、進学や就職で都市部に出た人が出身地に戻って働くことを指します。実家や幼なじみといった地縁があるぶん、住居や生活基盤の立ち上げは比較的スムーズです。
一方で注意したいのが、「何をするか(キャリア)」より「どこに帰るか(地元)」を優先してしまい、入社後にミスマッチが発覚するケースです。学生時代の人間関係と社会人としての付き合いは別物で、距離が近いぶん摩擦が起きやすいという声も少なくありません。
Uターンで見落としがちな注意点
- 地元に希望する業界・職種の求人が実際にあるか、応募前に必ず確認する
- 「地元に帰ること」自体が目的になっていないか、キャリアの軸を整理してから動く
- 学生時代の人間関係と社会人としての距離感は別物と割り切る
Iターン転職の特徴とメリット・デメリット
Iターン転職は、出身地とは縁のない地方に移住して働くことを指します。地縁も土地勘もゼロからのスタートになるため、住居・車・子どもの転校など生活基盤の構築をすべて自分で進める必要があります。
その分、移住先を「暮らしたい土地」「働きたい業界が強い土地」から純粋に選べるのが強みです。ものづくり系の求人は地方の主力工場に集中していることが多く、製造業や生産技術系の職種 はIターンとの相性が比較的よい業界のひとつです。実際に品質管理・生産技術への転職は製造業の中でもキャリアの選択肢が広い職種なので、興味がある方は品質管理・生産技術への転職|現場出身者が徹底解説も参考にしてください。
地方求人はどこで探す?探し方のステップ
「地方求人は絶対数が少ない」という不安は分かります。ですが、探し方を工夫すれば見つかる求人の幅は広がります。
地方特化型の転職サイト・エージェントを併用する
全国大手の総合エージェント1社だけに頼ると、担当地域の求人が薄く感じることがあります。総合型2〜3社に加えて、地方の求人情報を専門に扱うサイトや地域密着型の求人媒体も併用し、複数の情報源から求人を集めるのが基本です。
自治体の移住支援・就業マッチング制度を活用する
国は「地方創生移住支援金」という制度を設けています。東京23区に在住、または東京圏に住みながら23区へ通勤していた人が地方へ移住し、対象企業への就職などの要件を満たすと、世帯移住で最大100万円、単身移住で最大60万円が支給されます(出典:内閣府 地方創生「移住支援金」)。
移住支援金のポイント
- 世帯移住:最大100万円/単身移住:最大60万円(国の制度)
- 自治体によって住宅取得補助・家賃補助・子育て支援金などの上乗せがある
- 対象要件は自治体ごとに異なるため、移住予定先の自治体サイトで必ず確認する
厚生労働省もハローワークに「地方就職支援コーナー」を設置し、UIJターン向けの職業相談・紹介を行っています。国レベルで後押しされている取り組みなので、公的な窓口も選択肢に入れておくと安心です。
全国大手エージェントで「地方勤務可」求人を絞り込むコツ
大手エージェントは求人の絶対数が多いため、勤務地を「地方勤務可」「UIJターン歓迎」といったキーワードで絞り込むと、見落としていた求人が見つかることがあります。求人票に「引っ越し費用補助あり」「U・Iターン支援」の記載があれば、企業側も地方人材の確保に積極的なサインです。
Uターン・Iターン転職で年収はどう変わるか
ここが一番気になるところだと思います。数字で見ていきましょう。
一般の転職と地方移住転職、年収データの違い
マイナビ転職の調査によると、地方移住転職・Uターン転職者の転職後平均年収は413.4万円で、転職前から約80万円ダウンしています(出典:マイナビ転職「地方移住転職・Uターン転職の年収変化と満足度調査2025年」)。
比較として、2024年に転職した正社員全体の平均年収は509.3万円で、転職前より+22.0万円というデータもあります(出典:マイナビ「転職動向調査2025年版」)。一般の転職は年収アップ傾向にある一方、地方移住を伴う転職だけは平均で下がるという対比が見えてきます。もちろん人によりますが、業種や役職によって下げ幅には差があります。
生活コスト(家賃・物価)を含めた「手取り実感」の考え方
年収だけを見ると下がって見えますが、生活費も同時に下がる点は押さえておきたいところです。400F/オカネコ保険比較の家計調査によると、単身世帯の生活費は東京が約14.4万円に対し地方は約8.5万円で、差額は月5.9万円(年間で約70万円)にのぼります。住宅費だけを見ると東京は地方のほぼ2倍です。
つまり「年収は▲80万円だが、生活費は年間約70万円下がる」という試算になり、単純な年収の下げ幅ほど生活の余裕が失われるわけではありません。ただし地方は車の所有が前提になりやすく(単身世帯でも所有率は約6割)、車の維持費が新たにかかる点は差し引いて考える必要があります。
年収を落とさないための交渉・職種選びのポイント
下げ幅を抑えたいなら、面接や条件交渉の段階で確認すべき項目があります。
条件交渉で確認したい項目
- 社宅・社員寮の提供有無
- 住宅手当(家賃補助)の金額と支給期間
- 赴任時の引っ越し費用補助の有無・上限額
- リモート勤務との併用が可能か(都市部の給与水準を維持できる場合がある)
求人票に「U・Iターン支援」「引っ越し費用補助あり」と明記されている企業は、地方人材の確保に積極的なため交渉の余地が生まれやすい傾向があります。年収交渉そのものの進め方は転職で年収アップ!エージェント年収交渉の5ステップでも詳しく解説しているので、あわせて確認してみてください。
薬剤師のように専門資格を活かして地方で年収アップを実現した例もあります。気になる方は薬剤師が年収アップする在宅×地方転職術【2026年版】も参考になります。
進め方のロードマップ(在職中に動く場合の時系列)
在職中にUターン・Iターン転職を進める場合、家族の調整や住居探しと転職活動が同時に発生します。「仕事だけでも大変なのに」と感じるかもしれませんが、時系列で整理しておくと、やるべきことが見えやすくなります。
情報収集〜応募のタイミング(何ヶ月前から動くべきか)
内定から入社までは平均49.0日というデータがあります(出典:マイナビ「転職動向調査2025年版」)。ここに移住先の住居探しや引っ越し準備が加わるため、Uターン・Iターン転職は通常の転職より2〜3ヶ月早く動き出すのが目安です。目安として、応募・面接の3〜6ヶ月前には情報収集を始めておくと安心です。
面接・条件交渉での地方特有の確認事項(社宅・引っ越し補助など)
面接では、社宅提供の有無・住宅手当の金額と期間・赴任旅費の負担範囲を必ず確認してください。オンライン面接に対応している企業も多いため、在職中でも有給を数回使う程度で選考を進められるケースがあります。
私自身、通常面接から工場見学、役員面接、オファー面談まで有給を使いながら在職中に進めた経験があります。企業とのやり取りの多くはエージェントに間に入ってもらえたので、大きな負担にはなりませんでした。
内定後〜引っ越しまでにやること
内定後は、移住支援金の申請手続き、住居の契約、子どもの転校手続き、車の準備などが一気に発生します。自治体の移住支援窓口に早めに相談し、申請期限や必要書類を確認しておくとスムーズです。
Uターン・Iターン転職でよくある失敗と回避策
「準備したつもりだったのに」とあとから気づく失敗も少なくありません。体験談として多く挙がるのが、「どこに帰るか(地元)」を優先しすぎて「何をするか(キャリア)」を後回しにしてしまう失敗です。
私自身、転職活動で「なんとなく今より良くなりたい」という曖昧な動機のまま進めてしまい、いくつかの企業から内定をもらった段階になって決め切れず立ち止まった経験があります。動機が曖昧だと、条件が揃っても最後の決断で迷いが出るのだと痛感しました。
よくある失敗パターン
- 「地元に帰ること」だけを目的にして、キャリアの軸を決めないまま応募してしまう
- 求人の絶対数が少ないことを想定せず、選考直前になって求人不足に気づく
- 「地元だから大丈夫」と人間関係の変化を軽視してしまう
- 家族の同意形成を後回しにし、内定後に足並みが揃わなくなる
回避策はシンプルで、「なぜ地方で働きたいのか」を先に言語化してから求人を探すことです。転職の軸が定まっていれば、条件面で多少の妥協が必要な場面でも判断がぶれにくくなります。転職活動そのものの進め方に不安がある方は転職初心者がやるべきこと7つ|何から始めるか迷ったらも参考にしてください。
なお、配偶者の同意や子どもの転校など生活基盤の変化を伴う転職は、家族全体の合意形成に時間がかかるものです。似た文脈として専業主婦の再就職|ブランクありでも正社員になる方法も、生活の変化と両立させる転職活動の参考になります。
Uターン・Iターン転職に強いエージェントを併用する
地方求人は総合型エージェント1社だけではカバーしきれないことも多いので、複数を併用しておくと安心です。ここではUターン・Iターン転職で相談しやすいエージェントを3社紹介します。
リクルートエージェント
求人件数:非公開含め100万件以上
- 公開求人75万件以上・非公開求人多数
- 地方求人も幅広く保有
- Web面接・電話面接に対応
全国対応の総合型で、まず登録しておきたい1社。
無料で登録する →JACリクルートメント
求人件数:管理職・専門職中心
- ミドル・ハイクラス層に強い
- Uターンでの管理職転職に相談しやすい
- 年収600万円未満は紹介求人が限られることがある
キャリアを維持したまま地方に移りたい人向け。
無料で登録する →第二新卒エージェントneo
求人件数:ネオキャリア運営
- 第二新卒・既卒・フリーター向け
- 20代のIターン転職に相談しやすい
- 担当者によって面接対策などの質にばらつきがある
20代でこれから地方でキャリアを作りたい人向け。
無料で登録する →大手総合型のリクルートエージェントを軸にしつつ、キャリアの層や年代に合わせてもう1社を併用するのが基本です。マイナビエージェントもU・Iターン転職や海外勤務を視野に入れた業界・職種別の専任アドバイザー制度があるので、公式サイトで求人の傾向を確認しておくとよいでしょう。
まとめ
Uターンは地縁を活かせる分「帰ること」が目的化しやすく、Iターンは生活基盤をゼロから作る自由度がある分、準備の負担が大きくなります。年収は平均80万円ほど下がる調査結果がありますが、生活費の差や住宅手当・引っ越し補助の交渉次第で実質的な負担は変わってきます。
まとめ
Uターン・Iターン転職は、キャリアの軸を先に固め、在職中から3〜6ヶ月前を目安に情報収集を始めることが成功のカギです。まずは大手エージェントに登録し、地方求人の傾向と支援制度を確認するところから始めてみてください。焦らず、自分と家族に合ったペースで進めていきましょう。