「年収400万円」と書かれた求人票を見て、「思ったより良さそう」と応募を決めかけたことはないですか。
でもその金額、みなし残業代(固定残業代) が含まれているかもしれません。
- 求人票の年収に固定残業代が含まれているか見分けられない
- 面接やオファー面談で何を確認すればいいか分からない
- 「この求人、なんとなく怪しい」と感じるが根拠が言葉にできない
この記事では、転職エージェントを利用して複数社から内定を得た経験のある運営者ittiが、求人票の年収に潜むみなし残業の見抜き方をわかりやすく解説します。
みなし残業(固定残業代)とは何か
みなし残業(固定残業代)とは、実際の残業時間にかかわらず、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う制度です。制度自体は違法ではなく、要件を満たせば合法とされています。
固定残業代の基本ルール
- 基本給と固定残業代を明確に区分して支払うこと
- 何時間分の残業代として、いくら支払うのかを明示すること
- 設定時間を超えた分は、追加で割増賃金を支払うこと
企業がみなし残業を導入する理由は、給与計算の簡略化だけではありません。ようするに、求人票に載せる「年収」の数字を大きく見せられる、という採用上のメリットもあるのです。
基本給25万円の会社より、固定残業代込みで「月給30万円」と書ける会社のほうが、求人サイトでは目に留まりやすくなります。求人票の年収の高さは、必ずしも基本給の高さを意味しません。




求人票の年収に騙されないための見抜き方
「年収400万円(みなし残業代含む)」と書かれていても、内訳まで見ている人は多くありません。まずはこの数字を分解する習慣をつけましょう。
厚生労働省・都道府県労働局が公表しているリーフレットでは、固定残業代制を採用する求人票に次の3点すべての明示を求めています。
- 基本給(固定残業代を除いた額)
- 固定残業代の内容(何時間分の時間外手当として、いくら支給するか)
- 設定時間を超える時間外労働分は、追加で割増賃金を支払う旨
(出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代制を採用する場合は、募集要項や求人票などに、次の①~③の内容すべてを明示してください」)
この3点のうち1つでも欠けている求人票は、厚労省の明示ルールに沿っていない可能性があります。「年収400万円(みなし残業代含む)」とだけ書かれ、時間数や金額の内訳がない求人は要注意です。
もう一つ、自分で計算できるチェック方法があります。基本給を所定労働時間で割った時給が、都道府県の最低賃金 を下回っていないか確認する方法です。
実際に、基本給12万円+固定残業代12万円という求人で、基本給部分だけを時給換算すると最低賃金を下回り、固定残業代の定め自体が無効とされた判例もあります。


求人票で「みなし残業を隠す」典型パターン
- 「年収」欄には大きな数字だけを書き、注釈が小さすぎて読み飛ばしやすい
- 「固定残業代含む」とはあるが、何時間分かの記載がない
- 基本給の金額そのものが書かれていない
面接・オファー面談で確認すべき具体的な質問
求人票だけで判断がつかないときは、面接やオファー面談で直接確認するしかありません。ここで曖昧にしたまま入社を決めると、あとで「思っていた条件と違う」と後悔することになります。
そのまま使える質問例文
- 「固定残業代は何時間分の設定でしょうか。超過した場合は別途支給されますか」
- 「先月の部署の平均残業時間を教えていただけますか」
- 「固定残業時間を超えた月は、実際どのくらいの頻度でありますか」
聞き方のポイントは、「残業は多いですか」のような曖昧な聞き方を避け、時間数や頻度など数字で答えられる質問にすることです。数字で答えられない、あるいは毎回話をそらされる企業は、実態を隠している可能性があります。
労働条件通知書 が届いたら、そこでも同じ3点をチェックしてください。通常の賃金部分の金額・固定残業代部分の金額・何時間分に相当するかが、明確に区分されているかどうかです。この確認方法についてはオファー面談で確認すべきこと|労働条件通知書のどこを見るかで詳しく解説しています。


みなし残業が多い業界・職種の傾向
固定残業時間の長さは、業界によって傾向が大きく異なります。厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、一般労働者の月平均所定外労働時間は13.2時間 です(出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」)。この平均値と比べると、固定残業時間が45時間・60時間といった求人がいかに突出しているかが分かります。
固定残業時間の目安
- 一般労働者の平均所定外労働時間:月13.2時間(出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」)
- 一般的な企業の固定残業時間:月20〜30時間程度
- 法定上限に近い水準:月45時間(36協定の原則的上限)
36協定 の原則的な上限は月45時間・年360時間です。特別条項付きでも単月100時間未満・複数月平均80時間・年720時間が上限とされています。固定残業時間が45時間で設定されている求人は、法定上限ギリギリの水準を「見込み」であらかじめ契約に組み込んでいることになります。
業界の傾向としては、広告業界・外資系コンサル・大手ゼネコンなどで残業時間が長くなりやすいとされています。IT業界は業態による差が大きく、SIer・SES系は月35〜45時間程度、自社サービス系のWeb企業は月20〜30時間程度と、同じIT業界でも幅があります。


みなし残業込みの年収でも良い求人を選ぶための判断基準
みなし残業があるからといって、その求人すべてを避ける必要はありません。大切なのは、「良いみなし残業求人」と「悪いみなし残業求人」を切り分ける視点です。
判断基準は大きく2つです。1つ目は、固定残業時間内に収まる働き方が実際にできているか。設定時間より実労働が短くても給与は変わらないため、実態と乖離していないかが重要です。
2つ目は、設定時間を超えた分がきちんと別途支給される会社かどうかです。「設定時間より少なければ満額払うが、超過分は払わず放置する」という悪用のされ方をする会社があることは、複数の情報源で共通して指摘されています。
良い求人を見極めるチェックポイント
- 固定残業時間内に収まる働き方が実際にできているか
- 設定時間を超えた分がきちんと別途支給されるか
- 「固定残業なし」「20時間以内」などの希望をエージェントに明確に伝えているか
応募の段階で「固定残業のない求人を希望する」「固定残業時間は20時間以内を希望する」といった条件を、エージェントに明確に伝えておくのも一つの方法です。希望条件の伝え方は転職の希望条件はエージェントにどう伝える?優先順位の決め方で解説しています。
転職エージェントを使うとみなし残業の実態が分かりやすい理由
求人票だけでは分からない情報を、転職エージェントは多く持っています。私自身、機械加工の現場で働きながら転職活動をした際、JACリクルートメントを利用して複数社から内定を得た経験があります。企業とのやり取りはすべてエージェントが代行してくれ、面接対策も対面・オンライン両方で何度も受けました。
求人票に書かれていない情報を担当者経由で確認できたのは、大きな安心材料でした。エージェントには「先月の残業時間は何時間でしたか」「部署単位の残業実態は正直どうですか」と、数字で具体的に聞くのが効果的です。
エージェントに聞くと効果的な質問
- 「先月の部署の残業時間は何時間でしたか」
- 「36協定の特別条項は、直近どのくらいの頻度で発動していますか」
- 「配属予定の部署に絞った残業実態を教えてください」
良いエージェントは具体的な数字や事例で答えてくれますが、ふわっとした回答しかしないエージェントには注意が必要です。担当者によって対応の質にばらつきがあることは、あらかじめ知っておいたほうがいいでしょう。
リクルートエージェント
求人件数:約60万件
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担当者によって面接対策等の質にばらつきがある点は留意。初めての転職で不安な人向け。
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まず自分で求人票を見比べたい人向け。気になる企業はエージェントと併用して内部情報を確認するのがおすすめ。
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まとめ
みなし残業(固定残業代)は制度自体が悪いわけではなく、内訳の明示と超過分の別途支給がされているかで良し悪しが分かれます。
今日からできること
リクルートエージェントの特徴
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- デメリット:求人数が多い分、絞り込みの軸は自分でも意識しておく必要がある
- おすすめ層:まず選択肢を広く見てから、みなし残業の実態を確認していきたい人