「この会社、入ってすぐ辞める人が多かったらどうしよう」。求人票を眺めながら、そんな不安がよぎったことはありませんか。離職率は求人票に書かれていないことがほとんどで、調べ方が分からず立ち止まる方も多いはずです。この記事では、転職エージェントを利用し複数社から内定を得た経験のある運営者ittiが、次の3点をわかりやすく解説します。

  • 求人票だけでは離職率が分からない制度的な理由
  • 有価証券報告書や口コミサイトなど、具体的な調べ方5つ
  • エージェントへの聞き方・面接での逆質問の例文

①離職率が高い会社に入ると何が起きるのか

離職率が高い職場では、人手不足のまま仕事量だけが増えたり、教育担当者が定着せず新人教育が後回しになったりしがちです。結果として「入ったばかりなのに孤立している」と感じ、早期に転職を考え直す人も少なくありません。

離職率が高い会社で起きやすいこと

  • 一人あたりの業務量が増え、残業が常態化しやすい
  • 教育担当が頻繁に変わり、指導が中途半端になる
  • 同期・先輩がすぐいなくなり、相談相手が減る
  • 結果的に「また転職活動をやり直す」羽目になる
さくら
さくら
実は前職も入社半年くらいで「思っていた職場と違う」と感じて転職したんです…また同じことになったらと思うと怖くて。
itti
itti
分かります。実際に「転職して半年で辞めたい」と検索する方は多く、そのほとんどが入社前には見抜けなかったギャップに悩んでいます。だからこそ、入社前の情報収集が大事なんです。
さくら
さくら
面接で「うちは風通しがいいです」って言われても、正直どこまで信じていいか分からなくて…。
itti
itti
その気持ち、よく分かります。面接や求人票の言葉だけを鵜呑みにせず、これから紹介する調べ方で裏付けを取る癖をつけておくと安心ですよ。

短期離職の不安を先に解消しておきたい方は、転職して半年で辞めたくなったら?円満退職のタイミングも参考にしてみてください。

💡 ポイント 離職率の高さは、教育不足や人手不足という形で入社後すぐに影響してくる

②求人票だけで離職率が分からない理由

求人票でわかること・わからないこと求人票でわかる・給与、勤務地、勤務時間・仕事内容、応募条件・休日日数、福利厚生求人票でわからない・離職率、定着率・平均勤続年数・職場の実際の雰囲気

そもそも中途採用の求人票には、離職率を記載する欄自体が存在しません。ここには制度上の理由があります。

離職率の開示が義務ではない理由

新卒・高卒向けの求人をハローワークに出す際は「青少年雇用情報シート」の提出が必要で、過去3年間の採用者数・離職者数や平均勤続年数の記載欄があります。ただしこれは事業主の努力義務 にとどまり、しかも新規学卒者向け求人が対象です。中途採用向けの求人にはこの制度自体が適用されません(出典:厚生労働省)。だから中途で応募する側は、求人票を見ているだけでは離職率にたどり着けないのです。

制度のポイント

  • 青少年雇用情報シート:新卒・高卒求人が対象、記載は努力義務
  • 中途採用向け求人票:離職率・離職者数の記載欄が制度上ない
  • 求人票の空欄は違法ではないが、あえて書く企業には情報開示の姿勢が表れる
さくら
さくら
中途採用だと最初から離職率の欄が無いなんて、知りませんでした。
itti
itti
そうなんです。だから中途で応募する人ほど、これから紹介する方法で自分から情報を取りにいく必要があるんですよ。

「アットホームな職場です」に離職率のヒントが出ることも

「アットホームな職場です」という表現は、具体的な待遇や強みを打ち出しにくい企業が使いがちだと指摘されています。求人を出す頻度が高い会社ほど、当たり障りのない言葉で応募者を集めようとする傾向があるためです。

さくら
さくら
えっ、「アットホーム」って書いてあったら要注意なんですか!?
itti
itti
そう決めつけるのは早いですね。実際にアットホームな社風の優良企業もたくさんあります。あくまで「他に書けることがないのかも」という一つのヒントとして、労働条件や後で紹介する調べ方とあわせて見るのがコツです。
💡 ポイント 中途求人票には離職率の記載義務がなく、言い回しはヒントにすぎない。だからこそ自分で調べる方法を知っておく必要がある

③離職率を調べる具体的な方法6つ

求人票の外側に目を向けると、離職率を推測できる情報源はいくつもあります。ここでは特に有効な5つを紹介します。

離職率を調べる3つの入り口1有価証券報告書上場企業の一次情報2口コミサイト現場のリアルな声3エージェント聞きにくいことも代行

有価証券報告書で離職率を確認する方法

意外と知られていませんが、上場企業であれば有価証券報告書が有力な一次情報源になります。2023年3月期以降の有価証券報告書からは、サステナビリティ情報として「人的資本」(人材育成方針・社内環境整備方針)の開示が義務化されました。あわせて女性活躍推進法に基づく男女間賃金格差・女性管理職比率・男性育休取得率などの指標も記載され、社内環境整備方針の中で定着率・離職率に触れる企業もあります(出典:内閣府令改正、金融庁)。

ただし開示の充実度には差があります。東証プライム企業1,225社を対象にした調査では、人的資本に関する記述が2,000字未満の企業が全体の約6割を占めました(出典:日本生産性本部調査)。数値まで具体的に書いていない企業もある点は留意してください。

さくら
さくら
有価証券報告書なんて、どこで見られるんですか?難しそうです…
itti
itti
金融庁の「EDINET」というサイトで、誰でも無料で検索・閲覧できますよ。上場企業限定にはなりますが、口コミよりも制度的な裏付けのある情報という意味で価値が高いんです。

有価証券報告書でわかる可能性がある情報

  • 人材育成方針・社内環境整備方針(定着率・離職率に触れる企業もある)
  • 男女間賃金格差、女性管理職比率、男性育休取得率
  • 対象は主に上場企業(非上場企業は対象外)
💡 ポイント 上場企業を検討しているなら、口コミの前にEDINETで有価証券報告書を確認する価値がある

口コミサイトの見方と注意点

OpenWork・転職会議などの口コミサイトも定番の情報源です。ただし無料で使うには現職の口コミ投稿が条件になっている仕組みのため、ネガティブな内容に偏りやすい傾向があります。投稿者が元社員か在籍中か、部署や年代を確認したうえで、複数サイトを見比べて同じ指摘が繰り返し出てくるかを見るのがコツです。

口コミを読むときの注意点

  • ネガティブな声に偏りやすい前提で読む
  • 投稿者の属性(在籍中か退職者か、部署・年代)を確認する
  • 具体的な数字を伴う口コミを重視する
  • 1サイトだけでなく複数サイトを見比べる
さくら
さくら
口コミサイトって悪口ばかりな印象があって、どこまで信じていいのか迷います。
itti
itti
その感覚は正しいですね。1つの投稿を鵜呑みにせず、同じ指摘が複数の投稿・複数サイトで繰り返し出てくるかを見ると、精度が上がりますよ。
💡 ポイント 口コミは貴重だが偏りがある前提で、複数サイトを比較しながら読む

ハローワーク求人票の記載欄をチェックする

新卒・第二新卒として新卒枠の求人に応募する場合は、ハローワーク求人票に添付される青少年雇用情報シートも確認できます。過去3年間の採用者数・離職者数、平均勤続年数、研修やメンター制度の有無などが記載欄として設けられているためです。ただし中途採用向けの求人票にはこの欄自体がないので、後述するエージェントや面接での確認と組み合わせる必要があります。

さくら
さくら
新卒のときはあまり気にしていませんでした…第二新卒でも見られるんですね。
itti
itti
はい。新卒枠の求人に応募するなら第二新卒でも対象になり得ます。中途枠との違いを知っておくだけでも、情報の探し方が変わってきますよ。
💡 ポイント 新卒・第二新卒枠で応募するなら、ハローワークの青少年雇用情報シートも見ておく価値がある

就職四季報・人材サービス総合サイトを使う

紙とWebで確認できる公的・準公的な資料もあります。

離職率が載っている資料

  • 就職四季報(東洋経済新報社):3年後離職率や平均勤続年数が企業別に掲載されている。新卒向けの本だが、中途で入る会社の定着状況を見る材料としても使える。図書館にも置いてある
  • 人材サービス総合サイト(厚生労働省):人材紹介会社は職業安定法にもとづき、就職件数や6か月以内の離職者数を公表する義務がある。エージェント経由で入った人がどれだけ早期離職しているかを、エージェント単位で確認できる

後者は意外と知られていませんが、エージェント自体の質を見極める材料になります。紹介した人が半年以内に辞めている割合が高ければ、マッチングの精度に疑問が残るということです。

ただし就職四季報は全企業を網羅しているわけではなく、離職率を非公開にしている企業も少なくありません。載っていない場合は、次の方法と組み合わせてください。

転職エージェントに直接聞いてみる

「御社の離職率を教えてください」とストレートに聞くのは避けたほうが無難です。代わりに、答えやすい間接的な聞き方に言い換えると担当者も答えやすくなります。

エージェントへの聞き方の例文

  • 「中途入社の方は全体の何割くらいいらっしゃいますか」
  • 「配属予定の部署の在籍年数は、どのくらいの方が多いですか」
  • 「同期入社の方は今どのくらい残っていらっしゃいますか」
さくら
さくら
エージェント経由なら、直接企業に聞きにくいことも聞いてもらえるんですか?
itti
itti
そうですね。私自身、JACリクルートメントを利用したときは条件面のやり取りをすべて担当者に間に入ってもらいました。給与や待遇のように直接聞きにくい話も、エージェント経由だと確認しやすいんです。ただし担当者が必ずしも詳細な数値まで把握しているとは限らないので、過信は禁物ですよ。
運営者イチオシ

リクルートエージェント

★★★★☆ 4.8
求人数No.1

求人件数:約60万件

  • 非公開求人が全体の約80%
  • 各業界に精通した専任アドバイザー
  • 全国47都道府県・海外対応

全世代におすすめの大手エージェント。まずは登録して担当者に相談してみたい方向け。

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JACリクルートメント

★★★★☆ 4.6
ミドル・ハイクラス
  • ミドル・ハイクラス特化
  • 外資系・グローバル企業に強い
  • 両面型(企業と求職者の両方を担当)

運営者itti自身が利用し複数社から内定を得た経験あり。

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UZUZ

★★★★☆ 4.4
第二新卒・既卒
  • 20代の第二新卒・既卒・フリーター向け
  • 入社後の定着率を重視した紹介
  • ブラック企業の除外基準あり

早期離職への不安が強い方向け。連絡頻度は高めなので、こまめな連絡が苦手な方は注意。

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第二新卒エージェントneo

★★★★☆ 4.3
第二新卒・既卒
  • 第二新卒・既卒・フリーター・中退・高卒対応
  • ネオキャリア運営
  • 書類選考なしの求人も紹介

担当者によって面接対策の質にばらつきがあるという声もあるため、複数社と比較するのがおすすめ。

無料で登録する →

離職率のような聞きにくい質問をするコツは、初回面談の準備段階から整理しておくと安心です。転職エージェントに登録したら何をする?初回面談で聞かれることと準備すべきことや、初めて転職エージェントを使うときの注意点7つもあわせて確認しておくと、質問しそびれを防げます。

💡 ポイント 離職率は直球で聞かず、在籍年数や同期の定着状況など答えやすい聞き方に言い換える

面接の逆質問で在籍状況を探る

面接の逆質問でも、離職率を遠回しに探ることができます。「配属予定の部署では、皆さんどのくらいの年数勤務されている方が多いですか」「入社された方が定着しやすい理由があれば教えてください」といった聞き方なら、面接官も答えやすくなります。逆質問の作り方をもっと知りたい方は、転職の面接でする「逆質問」何を聞けばいい?評価が上がる質問例も参考にしてください。

💡 ポイント 逆質問では在籍年数や定着理由を尋ねる形にすると、離職率を間接的に探れる

④離職率が高い会社は避けるべきか

離職率が高い=即NGとは限りません。業界によって構造的に離職率が高くなりやすいためです。厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、一般労働者の離職率は「サービス業(他に分類されないもの)」19.0%、「宿泊業,飲食サービス業」18.1%が上位に並びます。パートタイム労働者ではさらに高く、宿泊業・飲食サービス業で29.9%、サービス業(他に分類されないもの)で23.8%です(出典:厚生労働省「雇用動向調査」令和6年分)。

産業別の離職率(令和6年雇用動向調査)一般労働者・サービス業19.0%一般労働者・宿泊飲食18.1%パート・宿泊飲食29.9%パート・サービス業23.8%出典:厚生労働省「雇用動向調査」令和6年分

介護・飲食・宿泊業などは人手不足や勤務形態の特性から、業界平均そのものが高くなりやすい構造があります。数字だけを見て一喜一憂せず、同業他社の水準と比べて突出していないかを確認する視点が大切です。

離職率を判断するときのポイント

  • 介護・飲食・宿泊業などは構造的に離職率が高くなりやすい業界
  • 単独の数字ではなく、同業他社の水準と比べて突出していないかを見る
  • 中途採用比率の公表義務(常時雇用301人以上の企業対象)も補助的な判断材料になる
  • 「離職率が高い=即NG」ではなく、業界特性を踏まえて読み解く
さくら
さくら
じゃあ、離職率が高い業界の会社は全部避けたほうがいいんですか?
itti
itti
一概にはそう言えません。業界柄どうしても数字が高くなる分野もあるので、同業他社と比べて明らかに突出していないかを見るほうが実用的です。もちろん人によって重視するポイントは違うので、あくまで判断材料の一つとして考えてくださいね。

補助的な指標として、常時雇用労働者301人以上の企業には中途採用比率の公表義務(労働施策総合推進法)もあります。離職率そのものではありませんが、中途入社者がどれだけ活躍・定着しているかを推測する材料になります。

入社後のミスマッチを防ぐ視点は、こちらの記事でも詳しく触れています。

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💡 ポイント 離職率は業界特性を踏まえて読み、同業他社との比較で判断する

まとめ|自分で調べてエージェントにも聞こう

離職率は求人票だけでは分からず、有価証券報告書・口コミサイト・ハローワークの記載欄など、自分で調べられる情報源が複数あります。そのうえで、エージェントへの聞き方や面接の逆質問を組み合わせれば、入社前に把握できる情報はぐっと増えます。

この記事のまとめ

  • 中途求人票には離職率の記載義務がなく、自分で調べる必要がある
  • 上場企業なら有価証券報告書、口コミサイトは複数比較で読む
  • エージェントへの聞き方・逆質問の言い換え例を使えば、聞きにくいことも確認できる
  • 離職率は業界特性を踏まえて判断し、高い=即NGと決めつけない

まずは気になる企業を1社選んで、有価証券報告書か口コミサイトを実際にのぞいてみてください。それだけでも入社後の安心感は変わってくるはずです。

エージェントに聞くメリット・デメリット

  • メリット1:直接聞きにくい待遇面もコンサルタント経由で確認しやすい
  • メリット2:在籍年数や定着状況など、間接的な聞き方のコツを教えてもらえる
  • メリット3:非公開求人など、求人票に出てこない情報も得られる
  • デメリット:担当者が必ずしも詳細な数値を把握しているとは限らない
  • こんな人におすすめ:自分だけで調べるのに限界を感じている方