「スキルは上がっているのに、なぜ年収だけが3年前と変わらないんだろう」——そう感じているITエンジニアへ向けて書きました。
転職エージェントを活用して複数社から内定を得た経験のある当サイト運営者のittiが解説します。
この記事でわかること:
- ITエンジニアが年収アップ転職を実現するための正しい動き方
- ハイクラス求人にアクセスできるエージェントの選び方
- 年収交渉で損をしないための具体的なコツと注意点
「エンジニアだから転職すれば自動的に上がる」という感覚は2022年末以降に変わりつつあります。今の市場に合った動き方をわかりやすく解説します。
① エンジニア市場が今チャンスな理由と落とし穴
IT人材は2024年時点で約60万人不足している
IT人材の不足は深刻な状況が続いています。2024年時点のIT人材不足数は約60万人 、2030年には最大79万人まで拡大すると予測されています(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」)。特に不足が深刻な領域はクラウド・サイバーセキュリティ・DX推進・AI分野です。
需要が供給を大きく上回っているということは、売り手市場(求職者が有利な状態)が続いているということですよね。それでも年収が上がらない人が多いのは、なぜでしょうか。
doda「2024年度版 決定年収レポート」(2025年5月発表)によると、転職でIT・通信業種の平均決定年収は486万円 で、前年比+17万円と業種別で上昇幅1位でした。IT職種で年収アップを実現した割合は約7割 と全職種平均の約6割を上回っています(出典:パーソルキャリア「2024年度版 決定年収レポート」)。
ただし、注意点があります。エンジニアtype誌の取材(2024〜2025年、久松剛氏)によると「2022年末以降のIT投資鈍化で、今は"よくて1割"が実態」とのことです。採用バブル期のような「転職するだけで年収が2倍」という感覚は通用しなくなっています。
採用バブル崩壊後の現実
- 2022〜2023年は現年収比10〜25%アップが当たり前の時期があった
- 2022年末以降のIT投資鈍化で、今は「よくて1割」が実態(エンジニアtype取材)
- 戦略なしに転職しても、以前ほど年収は上がらない時代になっている
スキルが同じでも商流次第で年収が200〜400万円変わる
「現場では頼られているのに、なぜこんなに給与が低いんだろう」——SES(システムエンジニアリングサービス)や多重下請け構造に組み込まれているエンジニアがよく感じる疑問です。
理由は商流(ビジネスモデル上の位置づけ)にあります。元請け→一次請け→二次請けと商流が深くなるほど、各社がマージンを20〜30%ずつ抜いていく。市場では単価80万円前後が見込めるスペックのエンジニアが、年収360万円台のまま働き続けているケースが実際にあります。
スキルの問題ではなく、所属企業の商流ポジションの問題です。この構造から抜け出すことが、年収アップの最も効果的なルートの一つです。商流を変えるだけで年収が200万円以上改善した事例は珍しくありません。
同じスキルでも、所属する会社の商流次第で年収に大きな差が生まれます。転職先を選ぶ際には「事業会社への直接雇用か、一次請け以上か」を必ず確認しましょう。
② ハイクラス求人にアクセスする方法
一般求人とハイクラス求人は「入口」が違う
転職サイトに掲載される一般求人と、ハイクラス(年収600万円以上を目安とした)求人では、情報の流通経路が根本的に異なります。高年収のポジションほど非公開求人として流通する比率が高く、一般の求人検索では出会えないことが多いです。
たとえばITエンジニア特化のエージェントは、公開求人と非公開求人を合わせて数万件規模の求人を保有しています。転職サイトだけで探している人は、そもそも選択肢の一部しか見えていないことになります。
非公開求人が多い理由
- 企業側が現職社員や取引先に知られたくない(後任・増員の場合)
- 年収800万円以上など条件が良すぎると応募が殺到するため非公開にする
- ヘッドハンティング的な打診のため、選んだ候補にだけ開示する
エージェントを使う3つの理由
年収アップ転職にエージェントを使うべき理由は3つあります。
- 非公開求人へのアクセス権がある(一般公開されていない高年収ポジション)
- 企業との年収交渉を代行してもらえる(自分では言い出しにくい交渉をプロが担う)
- 書類選考・面接準備のサポートで通過率が上がる
私自身がJACリクルートメントを使って転職活動をした際、エージェントが間に入るだけで年収提示の幅が変わる感覚を実感しました。「まず自分で調べてから」と思いがちですが、エージェントとの初回面談で市場価値を把握するのが最短ルートです。
ITエンジニアに向くエージェント4選
記事テーマに合うエージェントを4社紹介します。自分のスキルレベルや年収帯に合わせて選んでください。
Geekly(ギークリー)
- IT・Web・ゲーム業界に完全特化したエージェント
- 業界知識の深いキャリアアドバイザーが担当
- ゲーム・Web系のクリエイティブ系職種にも強い
IT業界未経験〜中堅エンジニアまで幅広く対応。IT特化のため求人の質が高い。
無料で登録する →TechClipsエージェント
- ITエンジニア専門で高年収・高待遇求人に特化
- notari運営の実績あるIT特化エージェント
- 年収600万円以上のポジションが充実
年収アップを狙うITエンジニアに向いている。高単価案件の取り扱いが強み。
無料で登録する →TechGo(テックゴー)
- ITエンジニアのハイクラス転職に特化したサービス
- MyVision運営で外資・コンサル系求人も保有
- 年収700万円以上を目指すエンジニア向け
現在年収500万円以上で次のステップを狙うエンジニアに特に向いている。
無料で登録する →LHH転職エージェント
- アデコ株式会社運営の外資系ハイクラス転職支援
- 外資IT企業・グローバルポジションの求人が豊富
- キャリアコンサルタントが個別サポート
外資系ITポジションや年収800万円以上を目指す人に向いている。
無料で登録する →なお、dodaやマイナビエージェントも知名度が高く本文中でデータを引用していますが、当サイトでは現時点でアフィリエイト提携がないため、上記4社を中心にご紹介しています。自分に合うものを選んでください。
③ 転職活動の実践ステップ
転職で年収を上げるには、順序が重要です。どこから動けばいいか迷いますよね。いきなり応募するのではなく、まず市場を把握することから始めましょう。
①自分の市場価値を複数エージェントで把握する
まず2〜3社のエージェントに並行登録し、それぞれの初回面談で「今の自分のスキルセットだと年収いくらが相場ですか?」と直接聞いてみてください。
エージェントによって保有求人の年収帯は異なります。1社の情報だけでは相場観がズレるリスクがあるため、複数社の面談情報を突き合わせることで自分の市場価値の実態が浮かび上がります。
リスキリング(スキルの再習得)経験の有無によって転職後の年収に約140万円の差が出るというデータもあります(出典:マイナビ「転職動向調査2024年版」)。保有スキルを棚卸しして、弱点を意識しておくことも大切です。
②職務経歴書で「成果」を数値化する
書類選考を通過するためのポイントは、担当業務ではなく成果を数値で示すことです。
「Webサービスの開発を担当」ではなく「月間PV100万のサービスのAPI開発を担当し、レスポンスタイムを40%削減」のように、規模・改善数値・使用技術を具体的に書きます。マネジメント経験があれば必ず記載してください。doda 2024年データによると、マネジメント経験の有無だけで提示年収が約67万円 異なります(出典:doda 2024年1〜12月データ)。
職務経歴書の数値化テンプレ
- 開発規模:「月間アクティブユーザー○万人のサービス」
- 技術スタック:「Go / AWS(ECS・RDS)/ Terraform」など具体的に
- 成果指標:「デプロイ頻度を週1→毎日に改善」「障害対応時間を60%短縮」
- マネジメント:「5名のチームリード / 採用面接も担当」
③面接で年収を下げない答え方
「現在の年収は?」と聞かれたとき、そのまま答えるだけでは損をする可能性があります。企業側は最初の提示額を低めに設定していることが多く、交渉しないことで50〜100万円を損している ケースがあります。
**年収交渉のタイミングは「内定後・入社前」**が基本です。内定が出た時点で、エージェント経由で「希望年収の〇〇万円に近づけることは可能でしょうか」と伝えてもらいます。「交渉したら内定を取り消されるのでは」という不安を持つ人も多いですが、誠実な交渉であれば内定取り消しになることは通常ありません。
年収600万円以上のハイクラス帯では、交渉は「当たり前の文化」です。遠慮する必要はありません。
④ 注意点・失敗パターン
1社エージェントだけで進めるリスク
「1社だけでエージェントに進めたら、あとから同じポジションで100万円高い条件で受けられたと友人から聞いた」——こういった後悔はよく聞きます。
エージェントによって保有する求人は異なります。1社だけに依存すると、より条件の良い求人に出会えないリスクがあります。年収交渉に消極的なエージェントもいるため、比較・競合情報の収集という意味でも並行登録は有効です。
複数エージェントへの並行登録は2〜3社に絞り、1〜2か月ほど並行で進めてみることをおすすめします。
オファー条件のチェックリスト
年収の数字だけを見て飛びつくのは危険です。内定オファーを受け取ったら、以下の項目を必ず確認してください。
オファー条件チェックリスト
- 月給・賞与の内訳(固定残業代が含まれていないか)
- 残業時間の実態(みなし残業は何時間分か)
- 昇給・昇格の仕組み(年1回か・実績連動かなど)
- リモートワーク・フレックス制度の実態
- 使用技術スタック・プロジェクトの規模
- 試用期間の条件(減額になる場合がある)
特に「固定残業代込みの月給」は注意が必要です。残業代を除いた実質時給を計算すると、現職より低くなることもあります。
年収が下がりやすい転職先の特徴
転職後に年収が下がってしまったケースで共通するパターンがあります。
- 職種変更を伴う転職(SEからプログラマーへの変更など、経験値をリセットされる)
- 商流が現職より深くなる転職先(SESから別のSESへ)
- 年収は上がっても、手当が減って手取りが増えないケース
- 市場価値を確認せずに1社エージェントだけで決断したケース
転職動向調査2024年版(マイナビ)によると、転職後に年収アップしたのは全体の約40%です。残りの60%は横ばいか下落しています(出典:マイナビ「転職動向調査2024年版」)。「年収アップ」を目的にするなら事前のリサーチが欠かせません。
まとめ
この記事のポイント
- IT人材不足は続いているが「転職するだけで年収が上がる」時代は2022年末以降に変化した
- 年収が上がらない原因は商流ポジション(SES・多重下請け構造)にあることが多い
- ハイクラス求人は非公開が多く、エージェント経由でのみアクセスできる
- 複数エージェントに並行登録して市場価値を把握してから活動を本格化させる
- 年収交渉は内定後・入社前にエージェント経由で行うのが基本
転職エージェントを活用した経験から言えるのは、最初に登録した1社の情報だけで判断してしまうのが最大の失敗パターンということです。焦らず、複数社の情報を集めてから動いてください。
IT転職の市場環境は変わっています。しかし正しく動けば、年収アップのチャンスは確実にあります。まずは気になるエージェントへの登録から、一歩踏み出してみてください。