「内定を承諾したのに、もっと条件の良い会社からオファーが届いた…どうしよう」
そんな状況で今、頭を抱えていませんか。気持ちはよくわかります。転職活動は複数社を並行して受けるのが普通なので、タイミングのズレで「承諾後にオファー」という状況は珍しくない。一度 “承諾した” という事実が、心に重くのしかかりますよね。
転職コンサル歴10年のittiが、この状況をわかりやすく整理します。
この記事でわかること:
- 法的に問題がないのか(違約金・損害賠償の実態)
- 後悔しない選択のための判断軸とスコアリング表
- 辞退するならそのまま使えるお詫びの文例(電話・メール)
法律の話は難しそうに聞こえますが、平易な言葉でしっかり解説します。ぜひ最後まで読んでみてください。
内定承諾後に別オファーが来た…これってよくあること?
「自分だけこんな状況になっているのでは」と不安になる方も多いのですが、実はかなり一般的な話です。
マイナビ転職の調査(2025年)によると、中途転職者の平均応募社数は13.6社 で、平均内定取得数は2.3件 。つまり転職活動では複数の内定を取ることが前提の構造になっています。(出典:マイナビ転職 転職活動実態調査2025)
平均2社以上の内定が出るということは、必然的に「どちらを選ぶか」という判断が生まれます。各社が独立したスケジュールで選考を進めているため、承諾のタイミングが重なることは構造的に避けられません。
転職市場でこの状況が起きやすい理由
転職活動はA社の内定承諾期限が来週、B社の面接結果は再来週——というように、複数社の選考が非同期で動いています。内定承諾の期限は多くの場合1〜2週間しかなく、すべての選考結果が揃うまで待ってもらえることはほとんどありません。
「第2志望の承諾締切が来週。でも第1志望の結果がまだ来ていない」——これはリアルに多くの転職者が抱える悩みです(出典:Yahoo知恵袋)。結果として「とりあえず承諾しておいて、後で考える」という行動は珍しくありません。
中途採用での内定承諾後辞退率は5〜10% とされています(複数機関の調査 2024〜2025年)。1割近くの人が似たような状況を経験している計算です。




焦って決断するのが一番危険
「承諾してしまった手前、今さら変えられない」と思い込んで、本当に行きたい会社を諦める人がいます。でも、それが後悔につながるケースは非常に多い。
「後悔しない転職をしたい」という気持ちがあるなら、焦らず状況を整理することが先決です。
焦って決断する前に確認したいこと
- 本当にA社とB社の条件差を十分に比較したか?
- 「転職の目的」に照らして、どちらが合っているか考えたか?
- 辞退の法的・実務的なリスクを正確に把握しているか?
この3点を確認せずに「もう承諾したから仕方ない」と諦めるのは早計です。まず状況を冷静に整理しましょう。
ポイント:中途転職で承諾後辞退は珍しくない。焦らず情報を整理してから判断すること。
内定承諾後の辞退は法的に問題ある?
多くの方が最初に気になるのがここです。「違法なのでは」「訴えられるのでは」という不安——正直なところ、かなり大げさに心配しているケースが多いです。
まず結論を言うと、内定承諾後の辞退は法律上、原則として自由です。
内定承諾と労働契約の関係
大前提として、内定とは「始期付解約権留保付労働契約」 のことです。ようするに、「入社日を開始日として結んだ、まだ条件付きの労働契約」という意味です。
まだ就労が始まっていない段階なので、辞退——正確には「解約」——は原則として認められています。
法的根拠(民法627条)
内定辞退もこの原則に準じており、企業側の「承諾」なしに辞退できます。「辞退させてもらえますか」と許可を求める必要はなく、意思を伝えることで辞退が成立します。




違約金・損害賠償は実際に発生するか
「それでも訴えられたら怖い」という方のために、実際の判例を確認しておきましょう。
損害賠償に関する判例
| 状況 | 結論 |
|---|---|
| 通常の内定辞退 | 損害賠償請求はほぼ認められない |
| 入社前日の辞退 | 判例あり、それでも請求棄却 |
| 著しく信義則に反する場合 | 理論上は請求可能、実例は極稀 |
入社前日の辞退でも認められないというのは、かなり強い判断です。通常の「承諾後に辞退」であれば、損害賠償を請求される可能性は実際にはほぼゼロと考えて構いません。
辞退できるタイミングの目安(入社前 vs 入社後)
辞退自体は入社日の直前でも法律上は可能です。ただ現実的には、入社日の2週間前まで に伝えることが推奨されています。(出典:マイナビ転職)
理由はシンプルで、企業側が別の候補者を手配したり、諸準備を見直したりする時間が必要だからです。
なお、入社してしまった後(就業開始後)の場合は話が異なります。就業規則で定められた退職の予告期間を守る必要があり、損害賠償のリスクも若干高まります。入社後の退職は、このケースとは別に考えてください。
この5ステップが、今あなたが取るべき行動の全体像です。「①状況整理→②法的確認」の順番で不安を解消してから判断すること。感情が揺れているときに決断しても、後悔しやすくなります。
ポイント:内定承諾後の辞退は法律上可能。損害賠償のリスクは実際にはほぼゼロ。
後悔しない判断軸:どちらを選ぶべきか
「どちらの会社にするか」——この判断が一番難しいですよね。感情が揺れて、なかなか決められない方も多い。
条件だけで比べてはいけない理由
「年収が50万円高い」「福利厚生が充実している」といった表面的な条件だけで比べると、入社後にミスマッチが起きやすくなります。
条件は入社後に変わることもありますし、「年収が高いが残業が多い」「年収は低いが裁量が大きい」のように、トレードオフが発生することも多いです。




「なぜ転職するのか」に立ち返るチェックリスト
転職目的チェックリスト
- 年収・待遇の改善が目的 → 条件の差を数字で比べる
- キャリアアップ・スキルアップが目的 → 成長機会・昇進スピードを比べる
- 働き方・ワークライフバランスが目的 → リモート可否・残業時間実態を確認する
- 人間関係・職場環境が目的 → 面接時の雰囲気・口コミを見る
- 業界・職種の変更が目的 → どちらがより「やりたいこと」に近いか確認する
このリストで自分の目的と照らし合わせると、どちらの会社が合っているか見えてくるはずです。
競合記事ではあまり触れられていない視点として、現職からの引き留めオファー との三者比較も重要です。「残ってほしい。昇給・昇進させる」という申し出を受けることがあります。でも、その条件が内定前に実現しなかった理由を冷静に考えてください。引き留めは多くの場合一時的な対処であり、根本的な職場環境が変わることは少ないです。
迷ったときに使える簡易スコアリング表
比較は「感覚」だけに頼らず、数値化すると判断しやすくなります。以下の表で両社を採点してみてください。
重要度は「自分の転職目的」に合わせて1〜3で重み付けし、各項目を1〜5点で評価します。
| 比較項目 | 重要度(1〜3) | A社(1〜5点) | B社(1〜5点) |
|---|---|---|---|
| 年収・給与水準 | |||
| キャリアの成長性 | |||
| 仕事内容のやりがい | |||
| 働き方・残業時間 | |||
| 人間関係・社風 | |||
| 会社の安定性・将来性 | |||
| 転職目的との一致度 | |||
| 合計スコア(重要度×点数の合計) |




なお、第二新卒(20代前半)と30〜40代の経験者では、判断軸の重み付けも変わります。20代なら成長環境・スキルアップを重視、30〜40代なら年収・ポジション・安定性を重視する傾向があります。自分の年代と状況に合わせて重要度を調整してみてください。
ポイント:条件だけで比べず、転職の目的に立ち返ること。スコアリング表で冷静に比較しよう。
内定辞退の正しい伝え方・連絡マナー
いざ辞退を決めたら、伝え方が大切です。誠実な対応が、将来の人間関係や業界内の評判を守ります。
①連絡は電話が基本、メールは補足に
辞退の意思を伝える場合は、まず電話が原則です。「メールだけで済ませる」は誠意がないと受け取られることがあり、関係が悪化するリスクがあります。
「電話するのが怖い」という気持ちはよくわかります。でも、実際には企業側が理解を示してくれるケースが大多数です。体験談でも「電話で誠実に謝罪したら、すんなり受け入れられた」というケースが多数報告されています(出典:Note ユーザー体験談)。
辞退連絡の手順
- 電話で辞退の意思と謝罪を伝える(担当採用者または人事宛に)
- 電話後すぐにメールで要点を文字として残す(記録として)
- 郵送書類がある場合は別途対応(エージェント経由なら担当者に確認)


②使えるお詫びの文例(電話・メール)
そのままコピペして使える文例を掲載します。必要に応じてアレンジしてください。
電話スクリプト例(内定承諾後辞退)
電話で引き留められた場合も、「誠に申し訳ありませんが、気持ちは変わりません」と繰り返せば問題ありません。感情的になる必要はありません。
メール文例(電話後の補足として送る)
件名:内定辞退のご連絡(□□)
○○株式会社 人事部 △△様
先ほどお電話にてお伝えいたしました通り、誠に恐れ入りますが、内定を辞退させていただきたく存じます。
選考・面接を通じて多くのお時間をいただいたにもかかわらず、このようなご連絡となりましたことを深くお詫び申し上げます。
貴社のご発展を心よりお祈り申し上げます。
□□(氏名)
理由は長々と説明する必要はありません。「諸般の事情により」「一身上の都合により」で十分です。詳細を伝えると話が長くなり、引き留めが続くこともあります。
③絶対にやってはいけないNG行動
特にSNSへの投稿は絶対にNGです。業界のコミュニティは思ったより狭く、採用担当者の目に入ることがあります。IT・コンサル業界は特にリスクが高く、長期的な評判リスク を考えると発信には十分注意してください。(出典:キャリアレバテック)
ポイント:辞退連絡は電話が基本。決断したら早めに、誠実に。SNS投稿は絶対NG。
よくある疑問と不安をQ&Aで解消する
「調べていても不安が消えない」という方のために、よくある疑問をまとめます。同じ悩みを持つ方は本当に多いので、安心して読んでみてください。
Q1:承諾書にサインしても辞退できる?
A:できます。前述の通り、内定承諾書に「辞退の場合は違約金」などの特約があっても、労働基準法16条により無効です(出典:SmartHR Mag)。署名した事実は道義的に重みはあっても、法的拘束力はありません。


Q2:エージェント経由の場合はどう動く?
エージェント(転職エージェント)経由で内定をもらった場合は、まず担当エージェントに連絡してください。
エージェントが企業との仲介役を担当し、辞退の連絡・調整を代わりに行ってくれます。企業に直接連絡してしまうと、エージェントを飛ばす形になり、今後の関係に影響することも。
- リクルートエージェント:担当キャリアアドバイザー経由で辞退の意思を報告。辞退後も求職者サポートを継続(出典:リクルートエージェント公式)
- doda:キャリアアドバイザーが企業との仲介と辞退理由の言葉選びをサポート(出典:doda公式)
- マイナビ転職:内定承諾書の提出後でも辞退は可能と明確に記載。電話での速やかな連絡を強調(出典:マイナビ転職公式)


Q3:辞退後に同じ会社に再応募できる?
可能ですが、現実的には難しいケースが多いです。採用担当者の記憶にある限り、「一度断った人」という印象は残ります。
ただ、数年経って担当者が変わった、または別の部門への応募なら可能性はゼロではありません。誠実な辞退をしていれば、その可能性は高まります。「将来また関わりたい」と思う企業であれば、辞退時のお礼の言葉を丁寧にしておくことをおすすめします。
業界別:辞退のリスク感
- IT・コンサル業界:コミュニティが狭く、長期的な評判リスクが高め
- 製造業・インフラ:相対的にリスクが低い
- 医療・介護:資格職は横のつながりがあるため注意が必要 (出典:キャリアレバテック)
ポイント:エージェント経由なら担当者に先に連絡。誠実な辞退なら再応募の可能性もゼロではない。
転職エージェントに相談するという選択肢
「どちらに行けばいいか迷っている」「辞退の進め方がわからない」という場合、一人で抱え込まずにエージェントに相談するのも有効な選択肢です。
複数内定の比較サポートや、辞退の伝え方のアドバイスまで無料でサポートしてもらえます。
エージェントを選ぶ前に確認しておくこと
- 自分の年代・経験値に合ったエージェントを選ぶ(20代向け・ハイクラス向けなど)
- 複数登録して比較するのが基本(1社だけだと視野が狭くなりやすい)
- 担当者との相性も重要。合わなければ変更を申し出てOK
リクルートエージェント
求人件数:約60万件
- 非公開求人が全体の約80%
- 複数内定時の比較・判断サポートあり
- 全国47都道府県対応
転職初心者〜経験者まで対応。内定後の辞退手続きもアドバイスしてもらえます。
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- 大手・優良企業の求人が豊富
- 内定後のフォローが丁寧
- 年収交渉の代行が得意
内定が重なった際の判断サポートや、辞退連絡の手順も一緒に考えてもらえます。
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すでに複数オファーを持つ方が条件を比較・検討するのに使いやすいサービスです。
無料で登録する →まとめ:誠実に、素早く行動することが最善策
この記事で解説してきたことを振り返ります。
「一度承諾してしまった…」という罪悪感は、誰でも感じます。でも転職は人生の大きな決断。少しでも後悔のない選択をするためなら、誠実な辞退は正当な行動です。
この記事のまとめ
- 中途採用での内定承諾後辞退は珍しくない(辞退率5〜10%)
- 内定承諾後の辞退は法律上可能(民法627条・労基法16条)
- 承諾書の違約金特約は法的に無効。損害賠償は実例がほぼない
- 判断は「転職の目的」に立ち返り、スコアリング表で冷静に比較する
- 辞退を決めたら電話で早めに、誠実に伝える
- エージェント経由なら担当者に先に連絡する
「電話、緊張するな…」と思う気持ちはよくわかります。でも、ほとんどの場合、企業側は理解を示してくれます。体験談でも「誠実に謝罪したら、すんなり受け入れられた」というケースが多数あります(出典:Note ユーザー体験談)。あとは、決断したら素早く動くだけです。
転職に関連する記事もぜひ参考にしてみてください:転職エージェントの使い方完全ガイド|登録から内定獲得までの流れを解説 / 転職エージェントは複数登録すべき?掛け持ちのメリット・デメリットと正しいやり方
参考になれば嬉しいです。あなたの転職がうまくいくことを応援しています。お疲れ様でした!