「SIerの残業はもう限界。でも社内SEに転職したら年収が下がるんじゃないか……」

そう悩んで一歩を踏み出せないエンジニアは、いまとても多いです。転職エージェントを利用して複数社から内定を得た経験のある当サイト運営者ittiが、SIerから社内SEへの転職を実データとともに解説します。

この記事でわかること:

  • 社内SEで年収を「維持」するための企業の選び方
  • SIer経験が社内SEで高く評価される具体的な理由
  • 失敗しないエージェント活用法と求人の探し方

「楽になれると聞いたけど現実はどうなの?」という疑問に、データと体験談をもとにわかりやすく答えます。


月平均残業時間の比較社内SE13.9時間IT系全体平均約23時間SIer大手30社平均29.1時間SIer繁忙期(実例)月80〜100時間出典:doda調査・ITキャリアカフェ「SIerホワイトランキング」・note実例複数

グラフを見ると、社内SEとSIerの差は「倍以上」です。


① SIerから社内SEへ転職したくなる理由

残業・客先常駐・多重下請けの疲弊

SIerで働くエンジニアがよく口にする言葉があります。

「プロジェクトの終わりが見えない。納期は客先が決めて、削れるのは自分たちの睡眠時間だけ」

SIer大手30社の平均残業時間は月29.1時間 (出典:ITキャリアカフェ「SIerホワイトランキング」)。これは平均値であり、プロジェクト繁忙期には月80〜100時間に達するケースも珍しくありません。多重下請け構造では、エンドユーザーとの間に元請け・二次請け・三次請けが挟まり、意思決定が遅く、無理なスケジュールが現場に押し付けられやすくなります。

客先常駐も消耗の原因ですよね。自社の文化も仲間もなく、プロジェクトが変わるたびに一から人間関係を作り直す。そのストレスは残業時間の数字には表れません。

社内SEのリアルな残業時間(数字で確認)

では社内SEの実態はどうか。doda調査によると、社内SEの平均残業時間は月13.9時間 (出典:acrovision.jp掲載、doda調査データ)。IT職種の中で最も残業が少ない部類です。

実際に転職した方の声を見てみましょう。

「通常の月は40時間だった残業が、転職後は月5時間に。時給換算で1,850円から3,100円にアップした」(出典:note/engikoumu)

もう一件。

「SIer時代は月50時間程度で繁忙期は100時間超。社内SEになって月10時間程度に。納期の主導権が社内にあることが最大の理由」(出典:ruralsideway.com)

残業が減る構造的な理由

社内SEの顧客は「社内ユーザー」なので、納期の主導権が自社にあります。SIerのように外部から押し付けられる納期がなく、ユーザー部門と直接交渉して調整が可能。これが残業削減の根本的な仕組みです。

ただし「残業ゼロ保証」ではありません。基幹システム更新の際は月40〜50時間になる企業もあります(出典:note/remakrs_jobbbb)。時期や企業によって差があることは念頭に置いてください。

💡 ポイント 社内SEの平均残業は月13.9時間、SIer大手平均の半分以下。ただし時期・企業・フェーズで変動する。

② SIer経験者が社内SEに採用される理由

SIerスキルが社内SEで評価される理由

「社内SE経験がないのに採用されるか」という不安、よく分かります。ですが実際には、SIer経験者は社内SE転職で高く評価される傾向があります。

理由は3点です。

  • 上流設計・要件定義の経験:社内SEはユーザー部門の要望を仕様に落とす力が必要。SIerで鍛えたこのスキルは直結する
  • ベンダーコントロール能力:社内SEは外部のSIerや開発会社を発注する立場になるため、SIer側の動き方を知っていることが強みになる
  • プロジェクト管理経験:複数のステークホルダーを調整するPM的な力は、社内SEでも必須

転職決定者に占める社内SEの比率は全IT職種の25%(出典:doda「ITエンジニア中途採用マーケットレポート」)。IT人材不足が続く中、「SIer経験者なら即戦力」という採用側の評価は実態を伴っています。

社内SEが求める「即戦力」の定義

社内SEの「即戦力」とは、高度な最先端技術ではありません。

  • 既存システムの保守・改善を自走できる
  • 社内ユーザーの信頼を築きながら要望を整理できる
  • ベンダーとの交渉・調整を自分で進められる

SIerで3年以上働いたエンジニアなら、この3点を持っているケースがほとんどです。「社内SEは未経験だから無理」と諦める必要はありません。

経験年数別・採用されやすいポジション

  • 3〜5年目:保守・運用系のポジションに応募しやすい
  • 5〜10年目:PM・システム企画系のポジションも視野に入る
  • 10年以上:IT戦略・DX推進リーダーの求人で評価される
💡 ポイント SIer経験の「上流設計力・ベンダーコントロール・PM力」は社内SEで直接活きる。

③ 年収を維持するための企業選び

「社内SEは年収が下がる」という話は本当か。答えは企業次第です。正確には、業種と企業規模の選び方しだいで、維持も大幅アップも可能です。

社内SEで年収が下がりやすいケース

年収を下げてしまいやすいのは、次のようなケースです。

  • 中小企業・地方企業の社内SE:市場平均は約469〜521万円(出典:求人ボックス)
  • SIer時代に残業代が年収に大きく含まれていた場合:残業の少ない社内SEでは残業代分が消える
  • 「とにかく社内SEになりたい」と業種を絞らずに応募した場合

実際にこんな声もあります。

「前職と同水準の給与をもらえる企業は、地元ではほとんど見つからなかった」(出典:note/mimikyouth)

給与への不安は、転職でいちばん大きい壁ですよね。残業代込みで年収を比較することが落とし穴の一つです。たとえばSIer時代の年収600万円のうち100万円が残業代なら、残業が月10時間以下になる社内SEでは実質500万円相当に下がります。

年収を落とさず転職できる業種・企業規模の選び方

業種の選び方が最重要です。JAC Recruitmentの転職実績データによると、業種別の社内SE年収は以下の通りです(出典:JAC Recruitment「社内SEの年収ガイド」)。

業種 社内SE平均年収
金融 954万円
外資系 922万円
IT・通信 887万円
商社 797万円

年代別では、30代前半で720.6万円、40代前半で882.9万円が転職実績の平均です(出典:JAC Recruitment同調査)。40代でも高い年収での転職実績があることは、年齢を不安に感じているエンジニアにとって心強い数字です。

業種別・社内SE平均年収(転職実績)金融954万円外資系922万円IT・通信887万円商社797万円出典:JAC Recruitment「社内SEの年収ガイド」

経験年数・スキルで上下はするが、業種によってこれだけ差が出るのが現実です。業種を絞ることが年収維持の最大の武器になります。

残業代込み年収を時給換算してから比較する

SIer年収が高く見えるのは残業代が含まれているケースが多いためです。比較するときは「月の残業時間 × 時間単価」を差し引いた実質年収で比べましょう。転職後に時給が上がる実例は珍しくありません(1,850円→3,100円の事例:出典 note/engikoumu)。
💡 ポイント 年収維持のカギは業種選び。金融・外資・IT大手を狙うと、残業を減らしながら年収も維持しやすい。

④ 転職を成功させる具体的なステップ

SIer→社内SE転職の4ステップ1234棚卸し・確認スキルと年収の現状整理エージェント登録2〜3社に並行登録書類・面接対策SIer経験を社内SE視点に変換内定・条件交渉年収・残業の条件を入念に確認

職務経歴書でSIer経験を社内SE向けに言い換える方法

SIerの職務経歴書は「システム開発」「客先での要件定義」「コーディング」中心になりがちです。社内SEの採用担当者が読みやすい書き方に変換することが大切です。

言い換えのポイント3つ:

  1. 「顧客要件定義」→「ユーザー部門との要求整理・仕様策定」に変換する
  2. 「開発チームリード」→「社内外関係者の調整・プロジェクト推進」に変換する
  3. ベンダー折衝経験がなくても「開発委託先との仕様調整」など実態を掘り起こして記述する

規模感の数字(チーム人数・予算規模・期間)を入れると説得力が増します。また「社内SEに向いている理由」として、ユーザーとの直接対話経験や、業務理解とITをつなぐ経験を具体的なエピソードで示せると強くなります。

面接で「なぜSIerを辞めるか」を上手く伝える

面接官が最も気にするのは「うちに来ても同じ理由で辞めないか」という点です。転職理由をネガティブなままにすると、採用側の不安につながります。伝え方は重要ですよね。

面接での答え方テンプレート

「SIerでXX年間、上流設計からリリースまで経験し、システムが事業に与える影響を実感してきました。今後はユーザー企業の立場でシステムを内側から育て、事業成果に直結する仕事をしたいと考えています」

→ポジティブな動機(やりたいこと)を前面に出し、SIerへの不満は後ろに控える。面接の場では不満より展望を語る。

「残業が多くて辛い」は事実ですが、それだけだと動機が弱く見えます。「事業貢献・ユーザー側に立ちたい」というストーリーに乗せるのが効果的です。

💡 ポイント 職務経歴書はSIer用語を社内SE視点に変換し、面接は「やりたいこと」を先に話す。

⑤ 社内SE転職に強いエージェントの使い方

社内SE求人に強いエージェントの選び方

社内SE求人はIT職種全体の転職決定の25%を占めますが(出典:doda「ITエンジニア中途採用マーケットレポート」)、良質な求人は非公開のことが多いのが特徴です。エージェントを使わないと、条件の良い求人を見落としやすくなります。

どのエージェントを選べばいいか迷いますよね。転職の目的によって使い分けると効率的です。

  • 大量の求人を比較したい:リクルートエージェント(社内SE求人1万件以上)
  • IT専門のサポートを受けたい:Geekly・社内SE転職ナビ
  • 年収600万円以上を狙いたい:JACリクルートメント(ハイクラス向け・両面担当型)
社内SE特化

社内SE転職ナビ

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社内SE専門
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  • 40〜50代のIT人材に特化
  • 年齢フィルターのかかりにくい求人が多い
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40代以上で「年齢が不安」という方に向いている。IT職種での年齢を理由とした制約を減らして探せる。

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複数エージェントを使うメリットと注意点

「エージェントは1社に絞るべき?」という疑問もよく見かけます。2〜3社を並行利用するのが現実的には効果的です。

理由は、エージェントごとに保有する求人が異なるからです。総合型が持つ大手企業の社内SE求人と、IT特化型が持つ成長企業の求人は別物。どちらか一方だけでは選択肢が狭くなります。

ただし注意点もあります。

  • 同じ企業へ複数エージェント経由で応募すると採用担当者が困惑するため、応募先は各担当者に共有する
  • 3社以上になると面談や連絡の対応に追われる。2〜3社が上限の目安

まず1社登録して求人の相場観を掴んでから、追加登録するのがスムーズです。

エージェント登録の順番のめやす

  • まず:リクルートエージェントで求人全体の量・相場を把握する
  • 次に:社内SE転職ナビ or Geeklyで専門的なサポートを受ける
  • 40代以上は:エイジレスエージェントを追加する
💡 ポイント 2〜3社を使い分けると非公開求人へのアクセスと専門サポートの両方を得られる。

まとめ:SIer→社内SE転職のリアルな結論

この記事の振り返り

社内SEの平均残業は月13.9時間で、SIer大手平均(月29.1時間)の半分以下です。残業が減る理由は「納期の主導権が社内にある」という構造的なものです。

年収を維持するには業種選びが最重要で、金融・外資・IT大手では転職実績で800〜950万円台の事例があります。SIer経験の上流設計力・ベンダーコントロール力は社内SEで高く評価されるため、「未経験だから無理」と思う必要はありません。

まずはエージェントに登録して、非公開求人を含む社内SE求人の実態を確認してみてください。求人を見るだけでも転職の解像度が上がります。

じっくり悩んできた分だけ、次の職場では自分らしく働けるはずです。自分のペースで進んでいきましょう。